牛乳キャップ山分け事件 | やめるのやめた

牛乳キャップ山分け事件

 牛乳キャップをたくさん集めることは、子どもたちにとって一種のステイタスとなっている。

 キャップごときでと笑う人もいるかもしれないが、貧富の差がなぜか生まれ、年貢を納めるようにキャップを献上する者まで現れる。取り立て業者のような者、ひたすら拾うことに専念する者など、実に様々な人間模様が見られるのである。

 ある日、持ち物の整頓が苦手な大富豪が、大量のキャップを床にバラまいてしまった。

 「みんなで山分けよ!」

 と、言う、ある女子の一言を皮切りに、血で血を争う地獄絵図が繰り広げられた。
 この騒動で、3人がヒザをすりむき、2人が頭をぶつけ、大富豪は泣いた。

 騒動を鎮圧した後、事情聴取となる学級会が行われた。すると、キャップを欲しがる浅ましい心が良くないんだと、みんな徐々に気付いていく。

 ところがここで、騒動の原因となる一言を発した女子が、真顔で信じられないことを口走る。

 「私は何度もやめなって言ったのに、○○くん達が取ろうぜって言いました。」

 もう爆笑モノである。
 「お前が最初に言ったんじゃん!」
 と、3人ぐらいにユニゾンで切り返されていた。
 面白すぎである。

 他にも、
 「お前ら、席に着けよ!」
 と、真顔で怒鳴っているのに、自分が席に着いていない子や、
 「ここに入れて。」
 と、言って、列に後から割り込んだくせに、他の子には、
 「横入りすんなよ!」
 と妙に厳しく取り締まっている子なんかは見ていて面白い。

 不完全な正義感って妙に笑える。

 子どもってのはやっぱり天才なのである。
 少なくともコソコソ悪事を働く大人よりは。